旅と日常のあいだ

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南極旅行10 探検船の初日。客室の様子と、魔のドレーク海峡への備え

ウシュアイアの現地時刻で2月20日16:45ごろ。いよいよ南極行きの船に乗る。前回の記事はこちら(南極旅行09 ウシュアイアの街歩き、世界の果ての博物館とか顔ハメとか)。

客室に入るとスーツケースが届いていた。テーブルには結婚祝いのメッセージカードとワインボトル。スタッフからのプレゼントだった。粋じゃん! 結局このあと、ワインは開栓しないまま持ち帰ることになったけれど(船酔いの話はまたおいおい)。

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客室は思っていたより広くて快適な造り。ドアを開けるとこぢんまりしたリビングがあり(ソファとローテーブルとテレビあり)、その隣がベッドルーム(シングルベッドが2台、書き物机、こちらにもテレビあり)。どちらの部屋も収納スペースはじゅうぶん。スーツケースの中の着替えや小物はすべて引き出しや棚に移した。なにしろここで9日間を過ごすのだから快適な部屋づくりをせねば。洗面台・トイレ・シャワールームが一体になったスペースも各部屋にあるので、私と夫とで一つずつ使うことにした。トイレや洗面所の順番待ちが起こらないのはありがたい。

さて、私たちのツアー行程は全9日。はじめの3日間は南極大陸までの航海、中3日間は南極北端の半島周辺でボートによるクルーズと上陸、後ろの3日間がウシュアイアに戻る航海。長い長い時間をかけて上陸の予定は3日間だけなのだ。

ていうかそこまでの距離と時間の長さよ。ウシュアイアから南極まで最初の5時間ほどは穏やかな内海だが、そのあと外洋に出るとドレーク海峡というのが待ち受けている。これが別名「世界最悪の荒海」とか「魔の海峡」とか言われており、そりゃもう荒れに荒れるという噂。どれほど揺れるのか、そのためにどんな対策が必要なのかということを(特に夫は)あれこれ懸念していた。私も不安がないわけではなかったが、なるようにしかならないし薬も用意したし、あとは身をまかせるしかあるめえ!という思い。

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部屋で一息ついたあと、ラウンジに集合して全員参加のミーティング。レクチャーはすべて英語だが、日本語の同時通訳者が乗船していてイヤホンでそれを聞くことができる。船内のスタッフ紹介、ツアーの概要、このあとの進路や風向き情報などを聞く。

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モニタに表示された風速予測図が、まがまがしい色合い。「2日後あたり、ドレーク海峡で風が強くなる見込み。テーブルにおいたコップは揺れで落ちるでしょう」という恐るべき宣言も出された。ちょっとだけワクワクしてしまう私の隣で、夫の表情は一層くもりを帯びたようであった。

ミーティング後は全員が客室に戻り、船内放送を合図に避難訓練。所定の避難場所に集まり、点呼をとり、デッキに出て救命ベストを着用するまでの流れを実践した。15分後に始まる夕食まで部屋でのんびり……していたら、まさかというか案の定というか、押し寄せる疲れにさからえずベッドで2時間ほど寝てしまっていた。時刻は21時過ぎ。夕食時間、終わっちゃってるし!

今夜のうちに防水パルカ(ジャケット)と防水ブーツを受け取るようにという指示があったので、部屋を出て取りに行く。事前申告しておいたサイズのものを試着して、不具合がなかったのでそのまま受け取り。マッドルームと呼ばれるロッカー室の、自分の専用ロッカーに置いておく。

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船内放送によると、ドレーク海峡に入るのは23時頃とのこと。シャワーは揺れ始める前に済ませること、船内を歩行する際は手すりにつかまること、突然閉まるドアに手を挟まれないこと、壊れやすいものは外に出さず引き出しに収納すること、などが言い渡された。引き出しひとつずつにフックが付いているのはそのためなのね、これを使わないと引き出しが開いちゃうのね。納得。

明日以降のプログラムは船内あちらこちらのモニタに英語表示されており、かつ、日本人参加者向けには日本語で印字したものが部屋に配られた(ドアの隙間から差し入れられていた)。スケジュール確認のため、毎日壁に貼ることに。

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何もせずのんびり過ごすハネムーン♪ どころか、分刻みで予定がいっぱい。規則正しくもりだくさんなプログラムが用意されており、楽しいようなプレッシャーなような。揺れの少ないうちにシャワーも済ませたし、お守りとしての酔い止め薬も飲んだ。さあ寝よう。その間に差しかかるであろうドレーク海峡よ、どうぞお手柔らかに。