旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



スペイン16 思いがけず、体ひとつでパリの夜

2014年夏のスペイン旅行の最終日。……に、なるはずだった日。

f:id:lovestamp:20180529110124j:plain

マドリード3日目、今日は帰国の日。朝早くにホテル近くのレティーロ公園を散歩。ガラスの宮殿がキレイだった。

ホテルを出て、ターミナルであるアトーチャ駅へ。高速鉄道Renfeでバルセロナに戻り、エルプラット空港へ。搭乗前に生ハムたっぷりのパンを買った。ああ、滞在中に何度も食べた美味しすぎる生ハムもこれで食べおさめかぁ。

帰りはパリを経由する。便が違う友人と別れてひとりでパリ入り。パリ入りっていっても、乗り換えの待ち時間を空港内で過ごすだけなんだけど。パリ・シャルルドゴール空港に着き、お店を見ていたらそろそろ搭乗手続きの時刻。ロビーに待機していたのだが、定刻になっても手続きが始まらない。何かおかしい。まわりの乗客もざわざわして

私が乗るのは22:40発の便のなのだが、直前にやっと入ったアナウンスによると「35分ほど遅れます」と。日本までどうせ十何時間もかかるんだから35分くらい遅れても別にどうってことないわとのんきに構えていたのだが、さらに30分が経ってから流れてきたのは「今日は飛びません」のアナウンスだった。えっ、いまなんて? ここはパリ、日本語での放送などないのだが、私の全神経を集中した結果、たぶん今の英語はそう言ってた。

今日は飛びません、て。

ときは深夜23時過ぎ。私たちどうなるの。このだだっぴろい出発ロビーの長椅子で寝ろと? いやまあ、寝ろと言われれば寝るけれども。

ざわざわする中で、飛行機は明朝出発するということと、今夜のホテルは航空会社が用意するということが告げられた。「皆さまをお泊まりのホテルに振り分けますから指示に従ってください」とのことだが、この指示がほとんどない。不親切すぎる。

預けた荷物はどうなるのか(そう、着替えも洗面用具もなにもかも、トランクに入れて預けてしまったの)、ホテルに泊まるためにはどこで何の手続きをするのか、明日は何時にどこへ行けばいいのか。説明が足りず誘導もいい加減なので、当然お客さんの行動もバラバラ。

結局、集まっていた出発ロビーを離れ、別のフロアまで歩かされ、長蛇の列のカウンターに並び(いやー長い列だった!窓口を増やしてもっと列を分散させるべき)、あなたはこのホテルだから何番のバスに乗るように、わかったわね?と言われ、それはわかったけれども明日は何時に起きてどうやって空港に戻ってくるのかがちっともわからんのですが。不安を覚えつつも、もうなるようになあれ!とやけくそな気持ちでバスに乗った。補助席全開でぎゅうぎゅう詰め。もちろん車内放送はない。ホテルまで何分かかるのかも謎。

ホテルの前でバスが停まり、やれやれという感じで降りる乗客たち。が、あろうことか運転手が行き先のホテルを間違えていた。乗客全員、ホテルの玄関で文字どおり門前払いされるという事態。おーい、どうなってるんだエールフランス! トラブル時の対策が不十分すぎるだろ! もうね、深夜1時をまわってるから。何かのきっかけで暴動が起きるんじゃないかと思ったよね。何もかもがいい加減なことにあきれつつ、文句も言わずに再びバスに乗り込む紳士的な私たちであった。

ようやく、正しいホテルに到着。が、部屋にはベッド以外のなにもなかった。

パジャマやスリッパはもちろん、タオルもない、歯ブラシもない。旅道具が詰まったトランクは預けたままであり、化粧ポーチも着替えもない。iPhoneの充電器もない。手元にあるのは小さなポシェットのみ。そこに入っているのは、お財布と、バッテリーが切れそうなiPhoneと、手ぬぐいと、リップクリームくらい。いや、もうひとつあった。こんなとき、何の役にも立たないものが! そう、リカちゃん人形である。

パリのホテルで、予期せぬおひとりさま宿泊。ポツンと置かれたベッドに、リカちゃんを寝かせてみた。夜中に私は何をやっているのであろうか。あまりにもシュールすぎた。写真に撮って「パリなう」とつぶやいてみたいところであったが、いかんせんバッテリーの残量が少ない。明日は6時起きだというのに、この部屋には目覚まし時計すらないのである。iPhoneのアラーム機能が使えなくなったら一巻の終わり。余計な写真を撮っている場合ではない。

寝る前にメイクを落としたいが、クレンジングなんてあるはずもなかった。小さな洗面台に固形石鹸があったのでこれで洗顔。まったくちっとも泡立ちやしないぜ!タオルがないので手ぬぐいで顔をふく。ああ、化粧水とかクリームがほしい。ただでさえ乾燥するホテルの室内、このまま眠ったら顔がカピカピになってしまう。そのとき神の啓示が。そうだ、リップクリームがあるじゃない!保湿のためにリップクリームを顔に塗ることにした。薄くのばして全体に。異様にテカテカになったが仕方あるまい。そんなこんなで格闘していたらもう2時。寝過ごすという最悪の事態を避けるためにはむしろこのまま起きていた方がいいのでは?とも思ったが、いつのまにか寝ていたらしい。翌朝(といっても4時間後)、アラームが鳴る前に目が覚めた。顔はいい具合にうるおっていた。

朝食にはブッフェのパンが用意されていたのでこれを食べ、シャトルバスに揺られて再び空港へ。機体点検のためということで当初の予定よりさらに離陸が遅れる。構わんよ、ゆっくり点検してちょうだい!いっそのこと、今日はパリ市街を観光させてくれないかなぁ。それにしても、昨日から着替えができず、すっぴんなのが悲しい。成田を出るときには無駄にゴージャスなメイクをしていたのに(ばっちりルージュのこのときだ)この差は何だ!

十数時間後、予定を半日以上遅れて羽田に到着。職場の休みを1日余分にとっておいてよかった。

せっかく午前7時に東京にいるんだから、素敵な朝ごはんを食べたり買い物したりしようかなと思ったものの、ちょっと待てよ、13日にスペインを出て今は15日の朝、時差があるとはいえ3日前から一度も着替えてないし歯も磨いてない。女子として、いや人としてどうなんだ。なにしろ顔がいかん。メイクしてないとかいうレベルじゃない、素肌にリップクリームのみ。トランクを開ければ着替えもメイクもできるけれどそれも面倒くさい。脳内協議の結果、新幹線でおとなしく静岡に帰ることにした。ノーメイクで東京砂漠をさまよう勇気はないが、平日朝の下りこだま(席はガラガラ)なら別にいいやという判断が働いたためである。

かくして、バルセロナマドリード、予定外のパリをめぐる私の夏休みは幕を閉じる。

出発前に聞いていた「スペインはとにかくごはんが美味しい」これは本当だった。さほど興味のなかったガウディのことが知りたくなって、帰国してからガウディ建築の本を買った。人が明るくて気さくで気持ちがよかった。英語が通じない店もある、飛行機のトラブルも起こる、でもまあなんとかなるものだなと。印象に残る初スペインでした。

2014夏のスペイン旅行記、完。

▼スペイン旅行の初回記事はこちら

 

▼2012年の英仏旅行はこちら。コッツウォルズ、オックスフォード、ロンドン、パリなど。 

 

▼2014年のロンドン旅行はこちら。バッキンガム宮殿での痛恨のミス!など。

tokotoko.hatenablog.jp