旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


春の雪の日に、角幡唯介『極夜行前』を読んでいる

 寒い朝。起きて外を見たらなんと雪が積もっていた。屋根や車の窓にうっすらと。嘘でしょう、もう4月だぞ。ここ石川県の金沢市では昨日4月1日に桜が開花。桜のたよりと同時に雪かぁ。4月の積雪は7年ぶりのことだそうで、全然ないってわけではないのだな、それにしても珍しくはあるよな、ていうかいつまでも寒いのいい加減に勘弁して。

さいきん読んでいる本は、角幡さんの『極夜行前』。去年読んでおもしろかった北極探検記『極夜行』のあとに出た本で、極夜行を実行するまでの準備とか背景とかが書かれている。

tokotoko.hatenablog.jp

日が昇らない暗闇の北極を数ヶ月も歩きまわるのに、角幡さんは現在位置を特定する手段としてのGPSを持つことをよしとせず、星を観測して位置を割り出そうと試みる。「星を観測」って、具体的にどんな道具でどんな手順でやるのか、これを読むとまあ気が遠くなるよ。1度の計測では正誤がわからないから何度も計測して誤差を縮めていくとか、細かい作業なのに舞台は氷点下30度で指先の自由がきかないとか、そもそもそれをぜんぶ暗闇の中でやるとか。角幡さんが自分に課している探検のスタイルはそういうものなので、読者が「一体なんのために? どうしてそこまで?」という質問をはさむ必要はないんだが、しかしまあ、想像を超えた場所で、想像を超えた行いをしている人がいるものだよねえ。。

そしてこの『極夜行前』、表紙がとてもいい。ほんのり太陽光が見える地平と、犬と、ソリ。暗闇の『極夜行』と並べてみると、ますますいいのだよね。

極夜行前

極夜行前