旅と日常のあいだ

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南極へ15 南極半島・ポータルポイントに上陸。アザラシやクジラと遭遇

2月23日、乗船5日目。午前6:15に船内全体のモーニングコールがあり、朝食前にグラハムパッセージを通過しますとの案内。グラハムパッセージは南極半島の中ほどにある狭い水路で、両岸に氷河が見られる絶景ポイントだ。さっそく甲板に出てみると乗客がいっぱい。

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氷の色が、深い(厚い?)ところは吸い込まれそうな濃い水色だった。船の両側に氷の岸があり壁があり、昨日より大きな氷山が流れており、海面にはクジラの背中も見え隠れして見飽きない風景なのだった。波や風はおさまったようで、デッキにいても顔が痛むほどの強風や冷たさは感じない。今日の上陸はコンディションがよさそうだぞと期待が高まる。

朝食を終えたら、ポータル・ポイントと呼ばれる岬への上陸とゾディアックボートでのクルージング。160名ほどの乗客とスタッフは4グループに分かれて、時間差で交代しながら上陸とクルーズを行う。南極における規約により、ひとつの島への上陸人数や滞在時間は制限されており、全員いっぺんに同時行動をすることができないから。ちなみに、私たちを含めた日本人乗客はペンギングループだった(同時通訳者も一緒)。

上陸に備えて着込んだのは、ウールのインナー+ウールのセーター+フリース、この上に船で支給されたパルカ(防寒ジャケット)。足元はタイツとスパッツの重ね履き+雪山用の防水パンツ+支給された防水長靴。小物はネックウォーマー、ニットの帽子、防水グローブ。心配していた寒さ対策は、とりあえずこれで大丈夫だった。

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エンジン付きのゾディアックボート。これに乗り換えて上陸ポイントに向かう。思った以上に安定性がありスピードもあり快適だった。だんだんと陸地に近づいてきて、先のグループが上陸しているのが見えて、そうこうしているうちにボートは岸辺に到着。砂浜なんてないので、浅瀬にとめたボートから海にぼちゃんと足を浸して降り、ジャボジャボと歩いて上陸(水面は膝下まであるけれど、超強力なゴム長靴のおかげでまったく浸水なし)。

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中央にボートが見えている。ここから陸に上がって、おお、これが、初めて踏む南極大陸の地!一面が雪と氷ばかりなのかと思いきや、意外に岩が露出していたりコケらしき緑色のものがあったり。ここにはアザラシがたくさんいた。

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それはもう、「惜しみなく」って感じにたくさんいた。実におおらかに気ままにゴロゴロしているように見えた。ハーレムを探しにきた独身アザラシたちとのことだが、そうは見えないくらいゴロゴロしてたなあ。これまた規約によってアザラシやオットセイの15メートル以内に近づくことは禁止されているので、スタッフが置いた目印を超えないようにして移動。

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完全にくつろぎきったこの表情。たまに上陸してくる人間に対して警戒心がゼロなのだよね、絶対に攻撃してこないことを知ってるんだろうね(のちに出会うペンギンたちもみんなそうだった)。

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ポータルポイントでは数十分ほどの行動時間があった。小高い丘状になっていたので斜面を登ってみる。なんていうか、南極にいるというより普通に雪山歩きな感じになってきた。動いているぶんには寒さも感じないし、なんかこれ、出国当時の大豪雪の北陸より過ごしやすいんじゃないのか……などと思ってしまうほど。

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登りきった先は平坦になっていて、そこからは360度、海と氷と氷山を見渡せた。他には何もなくて、いま見えているこの世界がどれくらい遠くまでつながっているのか、氷の世界の外に何があるのか(その外から来たわけなんだけど)、何やら果てしないような心もとないような不思議な気持ちになったよ。

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「いま、南極に来ています」 この写真、来年の年賀状にしようかな。

 

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行き来するゾディアックボートを上から見たところ。ほかに色のないこの世界で、我々の服やボートだけが目立っている。この光景を見ながら私がぼんやりと考えていたのは、南極でアダムを発見するくだり……(出典/エヴァンゲリオン)。

丘を降りて再びボートに乗り込み、このあとは1時間半ほどのクルーズ。ボートを操縦するスタッフが、動物やら氷河やらの見どころを探しながら移動して解説してくれるというもので、目線が海に近くて(本船から見ている海とはまた全然ちがって)すごくおもしろかった。この日はなにしろクジラがたくさん見えた。こんなにクジラが見えることはなかなかないよとスタッフも驚くくらい。

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ザトウクジラの尾。こっちにいる!とボートで近づいて、そばで待機していると胸びれや尾びれが大きくひるがえるのが見えて、乗客一同、おお~!と興奮。そんなことを繰り返していたら時間はあっという間だった。上陸も楽しいけれど、ゾディアックボートのクルーズもまた楽しい。ひとまず、念願の南極上陸がかなったことが嬉しいし、途中で天候の悪化や体調不良がなくてよかった。

たっぷり3時間ほどの船外活動を終えて本船に戻る。昼食をはさんで、午後は再びクルーズの予定。

 つづく。