旅と日常のあいだ

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豪雪の石川、雪をかきまくって日が暮れる

2018年2月。北陸では現在、数十年ぶりという超豪雪の真っ最中。私の住むあたりも例外ではなく、1時間の間に10センチくらいみるみる積もる。

朝、目が覚めて、窓の外がなんだか明るい感じがするのは、晴れているからではなく雪が白いからだ。窓を開けると信じられないくらいぜんぶ真っ白。昨日の夜に雪かきしたのに、なんでまたこんなに増えてるんだ! 昨夜の労働の意味はあったのか?と声を上げたくなるけれども、雪かきしている人としていない人の間には、数日のあいだに歴然とした格差が生まれる。そのことはこの目で見て知っている。

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まめに雪かきしているうちの駐車場(右)と、3日間放置のお隣さん。車というより、生クリームがのったケーキあるいは新雪のスキー場にも見える。

車体の上の雪が向かって右側に大きくせりだしていて、私はこれを見て、「雪庇(せっぴ)」という単語を思い出した。山頂などで一定方向にあ風が吹いたとき、風下側に雪が積もって大きくふくらんでいく自然現象だ。雪の上から見るとなだらかな平面に見えるけれど、実はその下に地面はない。冬の登山や雪山スキーで踏み入ってはならない危険ゾーン、それが雪庇。山に行かずとも、この平地でミニ雪庇を見ることができようとは。上にスキー衣裳のリカちゃん人形でものっけて写真を撮りたい思いにかられる。

周辺市域では飛行機も在来線も高速道路もストップ、主要道路は立ち往生、バスは間引き運転、学校は休校、企業や店舗も早じまいが相次ぎ、コンビニの棚からはおにぎりが消える、そんな大雪の日。私は友人と会うために前々から自宅近くの居酒屋を予約していたのだが、友人からは「車を掘り出せない。バスは時間が読めない。というか、外に出るのをためらう」との連絡が。そりゃそうだ。

居酒屋からも「今日はいらっしゃいますか。魚の入荷がほとんどないですがよろしいですか」との電話がきた。この店は何を食べても美味しいが、特に魚がすばらしいお店なのだ。キャンセルもやむを得ない、そんな天気と台所事情だったけれど、なぜか私は「ここで甲斐性を見せてやる!」という思いになり「行きます」と答えてしまった。友人とはまたの機会にして、今日は家人を誘って。

で、夜である。居酒屋に行く前にうちの出入口やら駐車場を雪かきしておかねば後が大変なので、猛然とやった。居酒屋までは徒歩圏内だが、食べて飲んでのあとに雪かきするのは嫌だからな。この作業中、車が雪にハマって前にも後ろにも動かなくなるという事件が発生、近所のお兄さんの助けを得てどうにか救出される。

それも含めて雪と格闘していたら全身疲労と空腹が限界になり、もうダメだ、今日のところはここまでだ!ということで、てくてく歩いて居酒屋へ(うちからは雪なしの状態で徒歩3分ほど)。除雪車の通らない細い道だから雪がごっそり残っており、車道・歩道・側溝の区別なくすべてが真っ白。全体的に路面が上がっている状態で、普段より視界が高かった。身長+20~30センチくらいになってたと思う。

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本日の総雪かき時間は約3時間。労働後の一杯は格別であった。

あるだけの魚で盛り合わせを作ってもらって、魚の種類が少ないぶん、これまで頼んだことのなかった野菜の天ぷらや唐揚げを頼んでみて、これまたとても美味しくて満足であった。こうしている間にもまた雪が降り続いているけれど、ひとまずは今日一日お疲れさま。明日の雪のことは……、また明日考えよう。