旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


目的は函館でも新幹線でもない、18きっぷという勲章なのよ

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4月の初めに、2泊3日で函館に行った。

というと、函館に2泊してたっぷり観光したように聞こえるけどそうではない。静岡を出発して1日目と2日目はほとんど列車の中、函館に着いたのは2日目の夕方。乗り換え時にしか外の空気を吸ってない。そう、JRの青春18きっぷで鈍行を乗りついで北海道に行ってきたのでした。18きっぷで北海道! 18きっぷを愛する者として、いつかかなえたかった夢のひとつ。

18きっぷ旅では「JR(と一部私鉄)の鈍行乗り放題」が基本だけれど、今回の旅は厳密には「鈍行列車だけ」ではない。新幹線も使った。2016年3月の北海道新幹線開業により、本州と北海道を結ぶ津軽海峡には鈍行が走らなくなったからだ。その代わり、18きっぷでも新幹線に乗車できるという特例きっぷが発売された。新幹線! 鈍行より乗り心地もいいし、開業ほやほやのところにいち早く乗れるなんてむしろラッキー。

というわけで、静岡から函館までのタイムスケジュールは以下。有休の関係で3日間で完了させる必要があり、スタートはいきなりの新幹線利用だけど許してね。ここも鈍行だと、どうやってもゴールできなかったのだ。

<1日目>
06:22 静岡発 ※非18きっぷ東海道新幹線
07:37 東京着
07:55 東京発 上野東京ライン
09:29 宇都宮着
09:32 宇都宮発 宇都宮線
10:22 黒磯着
10:27 黒磯発 東北本線
11:30 郡山着
11:40 郡山発 東北本線
12:28 福島着 
12:51 福島発 奥羽本線
13:38 米沢着
13:41 米沢発 奥羽本線
14:26 山形着
14:52 山形発 奥羽本線
16:07 新庄着  
17:12 新庄発 奥羽本線
20:13 秋田着
☆秋田泊

<2日目>
05:31 秋田発 奥羽本線
08:01 弘前
08:06 弘前発 奥羽本線
08:55 青森着
11:01 青森発 津軽線
11:38 蟹田
11:44 蟹田発 津軽線
12:08 津軽二股着 
    ↓ 北海道新幹線に乗り換え(駅は連結)
13:47 奥津軽いまべつ発 ※オプション券※ 北海道新幹線
14:24 木古内
15:18 木古内発 道南いさりび鉄道函館本線
16:22 函館着
☆函館泊

<3日目>
14:40 函館空港発 JAL
16:10 羽田空港
東海道新幹線で静岡へ

◆コースの見どころ

・1日目最後の新庄~秋田間の長さ。山形県秋田県と隣同士なのに3時間も乗ってる。それでもまだまだ抜け切れない秋田県。でかい。

・さんざん乗ってやっと下りてホテルに着いて就寝して、2日目の朝にまた5:31乗車という睡眠時間の絶望的な少なさ。(ところが、眠いよ~って言いながらまだ暗い道を駅に向かう感じとか、乗客もまばらなロングシートでうとうとするのとかがまた良いのであった)

・そんなに早起きしたのにも関わらず、青森駅の待ち合わせで2時間も待たねばならない切なさ。バスや特急も考慮したが回避ルートのない不自由さよ。

蟹田発の列車が線路上で途中停車した。倒木が発生し、運転士がこれを線路わきにどけるという作業が必要になったためである。都会のラッシュとは無縁の本州最北路線、先を急ぐ人など誰もいない様子。文句を言う乗客もなく、私を含めた数名、窓を開けてぼんやりと倒木撤去作業を見る。

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北海道新幹線の乗り継ぎが悪く、前後に長大な待ち時間が発生。

北海道新幹線奥津軽いまべつ駅には飲食店も売店もない。待ち時間を埋める仕掛けがない。自動販売機が1台あるのみ。女子トイレの個室すら2つしかない。

・新幹線車内では海底駅および青函トンネル最深部のアナウンスあり。といっても暗闇の中をぴゅーんと通り過ぎるだけなので、そのつもりで窓の外を見ていないと見逃す。

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・車中で盛り上がったのは、「何も見ないで作家の名前をいくつ思い出せるかゲーム」。2人で2時間半かけて230人くらい出た。

函館駅には地元小学生の手による歓迎パネルがあり、各自が名刺サイズのカードに函館のいいところを書いている。が、内容があまりにも画一的で目を疑うレベル。10人中4~5人が「ラッキーピエロのチャイニーズチキンバーガー」、3人が「イカ」、1人が「函館山の夜景」、あと1人が「五稜郭」または「ハセガワストアのやきとり弁当」。どうなってんのこれ。ラッキーピエロの比率がおかしい。広告料でも出ているのか。もしくはバーガーに、食べると「ラッキーピエロラッキーピエロ」って連呼してしまう成分でも入っているのではないか。実際、このパネルに背中を押され、我々はこのあとラッキーピエロに行ってチャイニーズバーガーを食したのであった。刷りこみ効果恐るべし。

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・函館の朝市で食べた活きイカ、美味しかったな。1パイ680円とか、安っ。いくら丼はお味噌汁付きで500円。ほっけも確か800円くらい。朝から豪華。

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・列車に乗りまくったが、ぜーんぜん嫌になってないし、身体も痛くなってないし、もっと乗っていてもいい。まだやれる!

・帰りは飛行機。列車で2日かかった距離を2時間足らずで飛びながら「時間をお金で買う」というフレーズを思った。

・計画段階から、たぶん500回くらい「今回の旅の目的はなんだっけ」っていうのを自問した。函館観光? ちがう。単に長く列車に乗ること? それもちがう。北海道新幹線乗車? それだけではない。我々がほしいのは、【18きっぷで新幹線駅まで行き、さらに「18きっぷオプション券」を利用して新幹線に乗る、そういう面倒くさいことを成し遂げた勲章】だ。誰に見せても褒めてはくれない、自分だけの勲章である。間違っても、「行きも帰りも飛行機に乗って函館の滞在時間をできるだけ長くしよう」なんて考えちゃいかん。どちらかというと「できるだけ長く乗車しよう」の方向。 

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というわけで、奥羽本線なみにダラダラと長い旅行記、おわり。

次はどこに行こう。西かな。