旅と日常のあいだ

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2015北八ヶ岳・天狗岳(3)

北八ヶ岳の二日目。しらびそ小屋に泊まった前回の記事はこちら。

 午前6時40分、しらびそ小屋を出発して中山峠へ。

昨日下ってきた道を今日はひたすら登る。とにかく急斜面で歩きにくいあの道、あれをまた登るのかと思うと気分は沈みがち。標準タイムは1時間半ってことだけどそんなのムリムリ、2時間はかかるつもりでゆっくり行こうぜ。

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こんな道を登っていきます

かなり慎重な気持ちで進んだところ、「さあいよいよここから苦しい登りが始まる!」と思ったらそこがもうゴールの中山峠だった。えっもう着いたの、信じられないんだけど。きっかり1時間半。あんなに警戒していたのに、終わってみたらそうでもなかった。あらかじめ道の様子がわかっていて、ちゃんと心の準備ができていればこんなふうにスイスイ歩けるものである。「私たち、やればできる子!」調子づいた我々、このまま駐車場に戻る当初の計画を変更し、ひとつくらい山頂を目指そうよってことで天狗岳に登ることにした。

天狗岳に登る前に、昨日も立ち寄った黒百合ヒュッテへ。リュックはここに置いていき、身軽になって山頂まで往復しようというステキな作戦である。

 

黒百合ヒュッテから少し登った場所。天狗岳は、二つの頂上が並んだ形をしている「すりばち池」の向こうに、東天狗(左)、西天狗(右)。頂上間は往復40分。

天狗岳への道はそれなりにしんどかった。目指すべき山頂が見えているのにそこまでが遠い。道も割と単調だし、途中で霧が出てまわりの山々も見えなくなってしまったし。

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リュックは置いてきたが、リカちゃん人形は持ってきた。何やってんだか。ちなみにこの一帯には「天狗の奥庭」という名前がついていた。面白いな。1時間40分で、まずは東天狗の頂上に到着。頂上手前の分岐点から頂上までが思いのほか長くて疲れた。登頂の記念撮影。数年前、初の八ヶ岳登山で買った手ぬぐいをおもむろに広げてシャッターを押したが……

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「私は今ここにいます」

カメラを構える私のために手ぬぐいを持ってくれていた友人から、「これ、ここで撮る意味あるの?」という冷静なツッコミが。た、確かに。頂上じゃなくても、自宅でもどこでも撮れるね。。。そそくさとリカちゃんをしまい込み、前方に見えるはもうひとつの頂上「西天狗」。

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友人は「疲れたから私は行かない。ここで待ってるから行っといで」と言う。それじゃあちょっくら行ってきます。友人を東天狗に残し、ひとり西天狗へ向かう。稜線は気持ちが良くて、疲れているはずなのに思わず駆け足になる。ノンストップで走り続けていたら、すれ違った登山者に「すごいね、トレランやってるの?」と聞かれた。いや違います。ただウキウキしちゃって脚が前に出ているだけなんです。

西天狗に到着。振り返って友人のいる東天狗を見てみたけど、

あいにくの霧の中。来た道をまたピューーッと走って帰る。

少し雨がぱらついてきた。リュックを屋外に残してきた私たち、やや焦りながら下山。登りはげっそりしていた友人も「下りは得意!」と言いながらピュンピュン下っていった。登山が趣味と言いながら、基本的に登りはきらい、平らな道または下りの道が好きな我々である。

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黒百合ヒュッテに着いてリュックを回収し(濡れていなかった)、小屋のカフェでお昼ごはん。ストーブが燃えるテーブルで、温かいスープとフランスパンを食べる。黒百合ヒュッテいいなあ、可愛いな! すごく居心地のいい小屋なので、今度はぜひ泊まってみたい。

帰りは、ルート上にある高見石にも寄った。高見石小屋という山小屋のすぐ横に岩場の頂上があり、登るのがちょっと大変だけれどここからの眺めがとても素敵なのであった。 

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高見石より、白駒池を見る。森と池と空と山。いいなあ、静かだなあ。よくここに来るのだという先客がいて、「冬には白駒池が完全に凍って上を歩けるようになるよ」と教えてくれた。それもまた楽しそう。真冬の登山は無理だけれど、ガイドさんと一緒に森を歩いたり、凍る湖の上を歩いたりするのはとても魅力的だ。

八ヶ岳は奥が深い。北と南とで様子がまったく違うし、山の数もたくさんあってまだまだ登り甲斐がある。山頂を目指さなくても、点在する小屋や湖をめぐって遊ぶこともできる(まあ、今回はそのつもりだったのに物足りず、結局山頂に行くことにしたわけだけど)。やはりあれだな、真夏は北アルプスの高山に登って、秋や冬の入口のころに八ヶ岳に来るのがいいかもしれないな。また手ぬぐいを持って、「その写真は家でも撮れるでしょ」と言われながら。

2015年北八ヶ岳天狗岳しらびそ小屋の登山記録、おしまい。