旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


スペイン15 パエリアと、マドリードでいちばん可愛い私たち

スペイン旅、最終日の夜。この前の記事、サンミゲル市場とプラド美術館は以下。 

マドリードの最終日、夜19:30。スペインといえばパエリアでしょうに、そういえばまだ食べてない、ていうかほとんど生ハムしか食べてない! これじゃいかんというわけで、ホテルからほど近い場所でお店を探す。

前日に超駆け足で「ゲルニカ」を見たソフィア美術館(すなわちホテルの近く)の向かいにあるバルに行った。店頭にパエリアのメニューが出ていて、それを眺めていたら、店のおじさんが「どうぞ座っていきなよ」ってよい感じですすめてくれたので。おじさんの態度は本当に「よい感じ」で、押しつけがましくもなく冷たくもなく、観光客だからって適当でもなく、「もしよかったら寄っていってね、料理は美味しいよ」っていう雰囲気だったのだ。別にどの店でもよかったんだけど、結果的にここにして良かった。美味しかったし、おじさん最高。

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店のおじさんはまるで英語ができないようで、美術館前という観光客がどっさり来そうな立地なのに珍しいなあと思いつつ、私も友人もここぞとばかりにスペイン語でアタックしてみた。 白ワインをくださいとか、ビールをくださいとか、そんなのばっかりだけど。

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美術館のエントランスが見えるテラスにて、私はサングリアと白ワインを、友人はビールを。お通しはポテトチップ、追加でイカリングフライを注文する。20時をまわってもまだ明るい空の下、今は夏休みでここはスペインで、私は友人と気ままな旅行中で、ガウディでピカソで、そしてサングリアでパエリアなのだった。こんな幸せってあるかしら、と思った。旅の前日、仕事が終わらな過ぎて午前4時まで仕事をしたのは遠い昔のことである。帰国したらサグラダファミリア並みに果てしない仕事が待っているだろうけれど、それもまだ未来のことである。

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とかなんとか思っていたら、パエリアが運ばれてきた。鉄のフライパンから取り分けるのはいいとして、一緒に運ばれてきたのは薄い石の板。これなに? これにのせて食べるの? 隣のテーブルに座っていた地元客らしき人に身振り手振りでたずねると「それが正解!」というような顔。とりあえずのせてみた。ただの平らな板なのでごはんをすくうのが非常に難しいんですけど。

味は非常においしくて、海老やら貝やらのダシがじゅうじゅう染み込んだごはんは、これを嫌いな人がいるわけないやろ!というものであった。美味しいよパエリア、もっといろんなお店で食べておけばよかった。すぐに完食し、どうしようかおかわりしようか、あと2人前くらい軽くいけそうじゃない?と思ったが、腹八分でやめておいたのはさすが理性ある大人である。そういえば前回の英国旅行では謎の吐き気に襲われて医者を呼ぶ羽目になったし、(せつない闘病記はこちら)、無茶は禁物ね。

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会計時に手渡されたメモには手書きのメッセージ。おじさんときたら、私の手をとって甲にくちづけるという謎のサービス(?)まで。いやあ、楽しくて面白くて笑ったな。この日、マドリードでいちばん可愛い我々であった。

ホテルに戻って荷造りをし、眠りにつく。さよならスペイン! 翌日は飛行機で日本に帰る日……なのだが、トラブルが起こってパリで足止めを食らうことになるなんて、このときには予想もしていないのであった。