旅と日常のあいだ

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小説の神々しさについて。金原ひとみと綿矢りさ対談

雑誌「文學界」最新号(2012年1月号)の表紙に目がとまる。

特別対談 金原ひとみ×綿矢りさ「小説の怖さと神々しさと」

この二人が対談! 2004年に20歳と19歳で芥川賞をダブル受賞して、文学界のみならず世間をにぎわせた二人。タイプが全然違うように見えるけれども、お互いのことをどう思ってるんだろうか、作品についてどんなコメントをしあうんだろうかと気になって一気読み。

いやあ、とても良かった。意識のしあいかたとか、お互い(の作品)に期待していることとか、二人の関係性をいいなと思った。そこには作家としての共感があり、同年代の女の子どうしとしての共感があり、互いの作品は全部読み合っているというファン心理があり、一方は二児の母(金原さん)でもう一方は未だ「恋愛の荒野」にいる(綿矢さん)という違いがある。そういう背景をもって語られる言葉や内容が、とても面白かった。綿矢さんと仲良くなりたくてメールをする金原さんと、年に一回しかメールを返さない綿矢さんっていう図式も、新鮮。

年明けの読書は、まずはふたりの最新作からだな。今年はほとんど本を読まなかった。ある人に言わせると「本より現実のほうが楽しかったからじゃない?」とのことで、それはそれでいいんだけれども、小説を読みながらひとりで内に内に潜っていって、読み終えて一気に浮上したら現実世界が昨日までと違う色に見える!っていう鮮烈な体験がしたい。

来年、多くなくてもいいから、そういう読書体験に出会えますように。