旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


箱根旅行の上級編(エヴァンゲリオン聖地めぐり)

去る秋の日、紅葉が盛りの箱根へ行ってまいった。

一緒に行ったSちゃんは人生初の箱根である。いっぽう私は、仕事でよく訪れているため箱根の観光情報にはかなり詳しいほう。「ここは私の腕の見せどころ、箱根の王道コースをくまなく案内するからまかせとけ!」

ということには、ならなかった。私たちは、芦ノ湖も見ず、海賊船にも乗らず、温泉にも入らず、彫刻の森美術館にも行かず、富士屋ホテルにも寄らず、寄木細工も買わず、つまり箱根の王道を一切無視して我が道をつらぬいた。

「我が道」って、まあつまり、エヴァンゲリオンのことですけど。

エヴァの舞台である箱根で聖地巡礼をする」というのが、今回の旅行の目的なのだ。行き先は箱根ではなく、第三新東京市ってこと。その証拠に、箱根の旅行ガイドよりも、エヴァマップ(アニメのロケ地を示したマニア向け地図。人の多いところでは決して開かない。人目が恥ずかしいからではなく、うっかりぶつかったりしたら地図が汚れてしまうから)を見ている時間の方が多かったからな。

Sちゃんと私は、登山鉄道の中でもロープウェイの中でも「ヤシマ作戦」とか「ネルフ直上」とか「強羅絶対防衛線」とかいう二次元世界の単語を発し続け、しまいにはもう「アニメの中の登場人物になれそうな気がする」というところまでいってしまった。煙もうもうの大涌谷では、持参していたUCCコーヒー(シンジとアスカの絵が描いてある)を片手にキャラクターの真似を始める始末。そんな二人組には目もくれず、周囲の観光客たちは一心不乱で大涌谷名物の黒玉子をむさぼり食っているのであった。いやあ、なかなかにシュールな光景であったなあ。箱根って、こんなところだっけ?

白い車体はネルフ本部防衛網の偽装兵力。一般的には観光用のロープウェイとして知られている。

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日も落ちたころ、宮の下のナラヤカフェで一服。古い旅館を改装して造られたモダンな建物だ。妙齢の女子たる我々は、こういったオシャレカフェでスイーツを食べたりとかもしちゃうのだ、一応ね。

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このあと、面白すぎるスペインバルで夕食。食べたいメニューを自分で赤ペンで伝票に書いて料金とともに厨房に持参する、というかつてないオーダーシステムのお店だった。ドリンクもフードもぜんぶ300円という明朗会計。お酒を二杯ずつ飲み、ちょいちょいつまみを頼んでもおひとり様1200円という破格のお値段。しかも美味しいし、お姉さんは可愛いし、ほかにも面白ポイントが多々ありまして忘れられない箱根の夜になった。いやあ、いい店に入ったものだなあ。

Sちゃんは、おみやげにエヴァンゲリオン饅頭(クッキーだったかな)を買っていた。それから、弐号機が沈んでいるはずの芦ノ湖を見られなかったことを残念がっていた。当初の目的どおりとはいえ、本当にエヴァまみれだったなあ。ほかに何の話をしたんだっけなあ、と思い返してみたところ、「制服萌え」についても語ったことを思い出した。

「鉄道各社の駅員の制服には萌えるのに、箱根ロープウェイの乗務員の制服にはちっとも萌えない」

「制服のデザイン性なのか、列車とロープウェイという乗り物の差に起因するものなのか?」

「列車は日常のものだけどロープウェイは非日常。列車は移動手段として必要不可欠だけど、ロープウェイはそもそもが遊びのためのもので、その制服も見せることを前提としている。つまりコスプレみたいなもん。萌えさせるために作ってあるような制服に、わざわざ萌えられるか!」

紅葉まぶしい箱根の山で、私たち、こんなことでいいのでしょうか。とにもかくにも、手元にエヴァマップをちらつかせつつ、魅力満載の箱根を後にしたのだった。ともかく、Sちゃんの記念すべき初箱根が素晴らしいものになったことは間違いないよね。