旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


ねじれるラブ。乾くるみ『イニシエーション・ラブ』

静岡市内の本屋(谷島屋書店)で、乾くるみのミステリー『イニシエーション・ラブ』を買う。前に新聞の書評欄で紹介されてて気になってたのと、「作中に当店が登場します」という手書きPOPに惹かれたから。谷島屋が出てくんの? っていうか静岡が舞台なの? それは読まねば! ってことで。

書評にも裏表紙にも「最後から二行目がとにかくすごいぞ」と紹介されていたので期待大。序盤~中盤はいたって普通の青春恋愛小説として胸キュンな感じで楽しめる。で、終わりに近づくにつれ、さあさあここからどうなっちゃうのか!?という期待と予感と興奮でページをめくる手も震えがち。そしてついに迎えたラスト、問題の箇所を読んだときには、「・・・。」 「・・・?」 「・・・!!!!!」ってな具合。「ええー、わけわからん! あれがこれでそれがあれで、つ・ま・り、ええー!?」みたいな(何を書いてもネタバレになりそうでこんなアホな表現しかできぬ。あしからずご了承ください)

というわけでストーリーについては何も触れないが、もうひとつ楽しかったのは静岡ローカルネタがたくさん散りばめられていたこと。固有名詞がバンバン出てくるので、静岡の事情を知らない人にはわからなすぎだろうなーと思いつつ、静岡在住の私にはよーくわかってニヤニヤしてしまった。まあその分、東京とかほかの地方都市を舞台にした小説のそういう面白さはうまく実感できないわけだが。

作中のローカルっぷりがどれくらいかというと、 ・久能のいちご通り ・静岡伊勢丹 ・青葉通りのマック ・谷島屋書店 ・カネボウ通り ・センター ・静岡ターミナルホテル(アソシア)などなど。地名でも、曲金とか小鹿とか古庄とか、県外の人だと読めないようなのが頻出である(ちなみに「まがりかね」「おしか」「ふるしょう」です、県外読者の皆さんへ念のため)。

時代は80年代後半、ワンレンでハイレグで花金で、録音媒体と言えばカセットテープで、携帯電話なんかなくて、国鉄がJRになってという頃。その頃青春真っ只中でした!って人ならもっと共感できて、張り巡らせた伏線ももっと効果的なんだろう(世代的には、私はちょっと足りてない)。というわけで、<「男女七人夏物語」は欠かさず見てました>っていう世代で静岡在住でクセのある本でもOKって方はぜひご一読いただき、どんな感想をもつのかお聞かせ願いたい。

余談だが、一部表現が過剰にエロい。こういうのって人にすすめるとき困るよね、「あいつはどんな顔してこれを読んだんだろう」とか思われそうでさ(考えすぎ?)。