旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。



銀座ぶらぶら。友情はチロルチョコじゃ測りきれない

週末、友人Nの誕生日パーティーに参加するべく東京へ行った。いい年したオトナが誕生日パーティーって。しかも、企画・主催は誕生日を迎える当人。どういうこと?って感じだが、これが許されちゃう稀有なキャラなのだ、Nというのは

「私の誕生日だから東京に集まろう」なんて言って、北は北海道から南は福岡まで大学同期10人が集まるんだから、彼女の愛されっぷりがわかるというもの。北海道から飛んできたWなど、緊急の仕事が発生して出社命令が出たところを「今日は結婚式なんです!」と言って振り切ってきたらしい。とっさに「結婚式」と口走ってしまったその気持ち、わかる。事実とはいえ、「友人の誕生日パーティーなんです」とはなかなか言えまい。そんなわけで、愛すべきNのお祝いパーティー&プチ同窓会が開催される運びとなった。

パーティーは夜からだったので、それまで友人Wと銀座をぶらぶらする。

向かうは伊東屋、二人のおめあてはガラスペン。前からガラスペンが欲しかったというWの話を聞くうちに私も興味が湧いてきて、センスいいし実用的だし、Nのプレゼントにこれほどふさわしいものはない、いうことになったのだ。ガラスペンとインクを求め、鼻息も荒く入店する。

さてその後。私たちはガラスペンに心奪われて売り場を離れられなくなり、気がつけば2時間近くも伊東屋に滞在していた。透明のペン先がインクを吸う様子とか、なめらかな書き味とか、使い終わったペン先を水に浸してインクを洗い流すとか、いちいち素敵なんだもの。インクの名前がまた、「ビルマの琥珀」とか「忘れな草ブルー」とか心にくくて選びきれない。試し書きに次ぐ試し書きでずっと前傾姿勢だったWが、ううっと背中の痛みを訴え出す。

吟味の結果、Nのプレゼントにはガラスペンとインクと布張りの表紙のノートを包んでもらう。私は、自分のために「ムーンシャドウ」のインクを買った。月の影!! それは、淡い紫とグレーの間のような色。

頑張りすぎて疲れたしお腹もすいたしちょっと座って休みましょうかというところでWが指名したのが、超有名&高級チョコレートショップ、ピエール・マルコリーニ。銀座店にはカフェスペースが併設されていて、そこでチョコレートパフェが食べられるというのだ。バッグにガラスペンをひそませ、ショコラティエによる限定パフェを楽しむ私たち@花の銀座。自分たちのあまりのオトナっぷり(?)に目がくらみそうである。

そぼ降る雨の中、たどりついたピエールマルコリーニは屋外に人がはみ出す人気ぶり。人生初、パフェ待ちの行列だ。ちなみにチョコレートパフェは1680円といいお値段。じりじりと前に進みつつ、まだ見ぬパフェについてひとしきり思いをめぐらせる。

「普通のパフェなら2つは食べられる値段だよ」

「チロルチョコレートが1個10円としたら、168個分か」

「それならパフェの方がいいね」

「ガラスペンとインクに換算したらどうなる?」

不毛なレート換算に余念のない私たちである。レジのそばに立ったとき、あるマダムがチョコレートを1万7000円分購入。チロルチョコ1700個!! どれだけの量なのかうまく思い描くことができず、脳内処理機能がパンク寸前に。

頭の中がチロルまみれになったところで順番がまわってきた。チョコレート色の階段をのぼり、チョコレート色の壁のテーブルにつく。チョコレートパフェは確かに美味しかった。月並みな言い回しだが「濃厚でした」。チロル168個(またはガラスペン数セット)と比較したときの価値は、測定不能。Wは「4種のチョコレートアイス」を注文したのだが(これも値段はチロル168個分)、やはり「濃厚だ」とのこと。ひとくちもらったホワイトチョコのアイスが美味しかったなー。

そして今宵のメインイベントへ。舞台は日本橋にある小さなイタリアンレストラン、「ともすけ」。なんと貸切。5年ぶりくらいに顔をあわせた面々が、よく食べて、よくしゃべった。みんなキレイになっていた。あー楽しい。普段会わない人と会うと、普段出さない自分が出てくるな。こんな立ち位置で、こんな風に思われてて、こうやって答える私だったのかという発見。それから、いい意味で適当な距離感。お互いに気取らなくて、「それは変」とか言えて、でもその人のために笑ったり泣いたりできるような。

そういう確認ができたのもNの誕生日という口実のおかげだ。みんなして「次はNの5年後の誕生日に会おう!」って言ってたからな。「私の誕生日じゃなくてもいいのにー」とNは言うけどそれは無理。ほかの誰も、自分の誕生パーティーなんて企画しないっつーの(笑)。ただ者ならざる集客力と自己愛を持つN、そんな彼女の仲間内での異名は「ハブ空港」だ。スケールでかい。

パーティーの余韻もさめやらぬ翌日深夜、Wからのメールを受信。いわく、「インク瓶の凹みがペン置きになっていることを発見」と。時刻は午前0時30分ですぞ・・・。どんだけガラスペンを眺めてるんだよ、と。ああ、誰も彼もがステキすぎる友人たち。いつか誰かの誕生日まで、みんなが元気で愉快であれ。