旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


読書記録。桜庭一樹、三浦しをん、火の鳥など

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』桜庭一樹

よしよし、期待したとおりの救われなさ。世界は少女にとって無慈悲で、ときにひどく美しい、と。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

 

『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎

伊坂さんの作品は好きでほぼ全部読んでいるが、これは今までと印象が違ったなあ。軽っ!という感じ。軽妙さや身軽さが魅力の作家だとは思うが、芯にたどりつく前に表面をなでて終わってしまったような。短編集だからかな。もっとネチネチとやってほしいと思った。ネチネチってどんなだ。何かこう、もっと作りこんで、ネチネチと。

フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

 

『夢のような幸福』三浦しをん

三浦さんのエッセイは面白い、本当に。数年前、初めて『しをんのしおり』というエッセイを読んだときの衝撃は忘れない。思わず声を出して笑ってしまう愛すべき一冊は、我が心の本棚に殿堂入りしている。エッセイは何冊か出ているが、どれもタイトルが秀逸で素晴らしい。『妄想炸裂』『人生激場』『乙女なげやり』『悶絶スパイラル』。ね。

夢のような幸福 (新潮文庫)

夢のような幸福 (新潮文庫)

 

 

あと、巷にあふれかえるケータイ小説(と、それに対して自分が感じている何だかなーという気持ち)に関して、否定的な先入観を持つことなく向き合ってみようと思い立ち、『大人が読むケータイ小説』なる本を借りて読んでみた。だいたいタイトルからして怪しいもんだが。

・・・・・・。

ものの2分で挫折した。

 

そんな悲しい経験を経て、ただいま<名作を読み返そうキャンペーン>をひとりで開催中。まず始めに、手塚治虫のマンガ『火の鳥』を再読しているところである。ギャグが笑える、女の子の横顔が可愛いすぎるなど、前に読んだときには気づかなかった発見多し。人間の愚かさについて語られるシーンでは絶望しそうになって心底つらいが、そんなときは、これもまた名作である鳥山明の『Dr.スランプ』を読んで気持ちを中和させている。ほよよ! アラレちゃんの健やかで底抜けの可愛さが、ささくれた心にはたまらんわね。ちなみに、名作キャンペーンはこの後、『ジョジョの奇妙な冒険』に移行する予定である。

火の鳥 (文庫版)全13巻完結セット(コミックセット)