旅と日常のあいだ

石川県発、近場の寄り道から海外旅行まで。見たもの、食べたもの、面白いことの共有。


読書

まだ見ぬおやつ、アップルシュトゥルーデルへの憧れ

世界各地の旅先で出会ったお菓子を紹介した本、「旅とデザート、ときどきおやつ」を読んで、美味しそうだなあと思ったのが「アップルシュトゥルーデル」というお菓子。名前からはどんなお菓子なのか想像もつかないのだけど、説明によると「りんご・レーズン…

共感はしないけど今っぽさはわかる。古市憲寿『平成くん、さようなら』感想

第160回芥川賞候補作になった古市憲寿の「平成くん、さようなら」を読んだ。以下、ネタバレありなので、ご承知おきのうえ読み進めてください。 率直な感想は、「いけすかない主人公だなー、勝手にしたら?」からの「えっ、実は難病もの?」、そして「ラスト…

南極探検の裏表を知るおすすめの2冊。全員生還のシャクルトン隊と、彼に消された男たち

一年前(2018年2月)に南極旅行に行ったことがきっかけで、それからずっと、南極や北極に関するノンフィクションを好んで読んでいる。 最近読んだのは、1900年代初期(今からおよそ100年前)に南極大陸横断を試みた探検隊にまつわる2冊。どちらか1冊だけを読…

どうしてこんなに洋菓子が好きなのか(しかも和菓子も好き)

最近よく眺めている、雑誌ブルータス2018年11月1日号「洋菓子好き」。年が明けてからほしくなり、バックナンバーを探し出して購入した。 紹介されている洋菓子および洋菓子店は東京のものがほとんどなのですぐには買いに行けないんだけど、誌面を見ながら美…

1冊まるごとあんこの本と、野々市【土九】のたい焼き

このブログにもよく書いているとおり生クリームと乳脂肪が大好きな私だが、それと同じくらいあんこも大好きだ。ようかんもきんつばもいいけれど、「あんこ+何か」の組み合わせが好きなので、大福、ぜんざい、おはぎあたりは大好物。 もちろん、たい焼きも。…

2018年に面白かった映画と本

2018年も残りあと3日となった。年がかわることに対して感慨も実感も特になし。年賀状は早めに出し終え、おせち料理は出来合いのものを数品購入済み、トイレもお風呂も台所も普段から掃除しているから大掃除は省略、って感じのゆるゆるな年末だ。 今年の手帳…

2018年の私的第一位、森見登美彦『熱帯』感想

森見さんの新刊(2018年11月)、『熱帯』を読み終えた。 最後まで読み終えた人が誰もいないという幻の本『熱帯』の謎をめぐる壮大な物語。冒頭には作者である森見さん本人が登場して『熱帯』の謎に迫ろうとするのだが、同じく『熱帯』にとりつかれた人物たち…

丁寧な暮らしには遠いけれども、「アンドプレミアム」まとめ買い

好きな雑誌のひとつ、「アンドプレミアム」。書店で見かけて興味のあるテーマだったら買う、くらいのゆるさで集めていたのだけれど、中古のバックナンバー20冊くらいがお値打ち価格でまとめ売りされていたので一気に購入した。歯抜けだし、すでに持っている…

最近気になる本、月刊「たくさんのふしぎ」

月刊「たくさんのふしぎ」(福音館書店)のバックナンバーを衝動買い。一冊まるごとタータンチェックの特集にめちゃくちゃ心惹かれた。「好きな模様はなんですか」って聞かれたら即答でタータンチェック!な私だ。 すてきなタータンチェック (月刊たくさんの…

『思い出のマーニー』に、読書の記憶や憧れの気持ちを思い出す

『思い出のマーニー』(ジョーン・G・ロビンソン)を読み終えての感想。ジブリの映画は観ておらず、設定もストーリーも知らないまま。冒頭で登場する少女がアンナという名前だったので「あれっ、主人公はマーニーではないの?」と思ったが、このアンナがやが…

北極の夜を越え、4か月ぶりに見る太陽とは。『極夜行』角幡唯介

『極夜行』角幡唯介 数年前から妙にはまっている、探検家で作家の角幡さん。『極夜行』は2018年2月発行で、昨日11月8日にノンフィクション版本屋大賞の第1回受賞作に選ばれた。やったねえ角幡さん! この本について著者本人が「評判はいいし各所で取り上げら…

冲方丁『天地明察』感想。江戸時代の改暦プロジェクトに胸が熱くなる

冲方丁『天地明察』 江戸時代に、それまで800年にわたって使われてきた中国由来の暦を改め日本独自の暦を作ろうとした学者・渋川春海(=安井算哲)の物語。春海は職業としての碁打ちであり、かつ数学、天文学、暦学に通じた人物。まだまだ精密な望遠鏡とか…

恩田陸『蜜蜂と遠雷』感想。ピアノコンクールの舞台に立つ演奏者の姿が立体的に見えてくる

恩田陸『蜜蜂と遠雷』 2017年本屋大賞&直木賞受賞作。国際的なピアノコンクールに挑む、主に4名の演奏者にスポットをあてた小説。ああ、いい読書体験をしたなあと心底うれしくなる作品だった。 コンクールの舞台上で奏でられるピアノ、その曲名やメロディー…

三浦しをん『ののはな通信』感想

三浦しをん『ののはな通信』角川書店 女ふたりの書簡小説。地の文は一切なし、1冊すべてが手紙のやりとりで交わされる。 「のの」と「はな」のふたりが、同じ女子校に通う高校時代から40代になるまでの二十数年間に交わした手紙の数々。その中には、返事が来…

北極で全滅した探検隊を追う、極上のノンフィクション。角幡唯介『アグルーカの行方』

「アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極」角幡唯介 フランクリン隊は、19世紀の北極圏で当時まだ発見されていなかった北西航路を開こうとした探検隊。その目的を果たすことなく隊員129人が全滅するという衝撃の結末を迎えたのだが、現…

〆切に追われる作家を見るという楽しさ。『〆切本』

〆切というのは嫌なものだ。仕事の〆切のない世界に行きたいと何度願ったことか。私にとって〆切は、時間や作業量をきちんと区切って健全に過ごすための指標、という前向きなものになることはあまりない。どこまでも追ってきて、追いつめて苦しめて息も絶え…

小鳥の声に耳を傾けたくなる小説。小川洋子『ことり』感想

『ことり』 朝日文庫 小川洋子 シャーリー・ジャクスンの小説『ずっとお城で暮らしてる』(感想はこちら)に続く、世間から微妙にはみ出している兄弟の物語(あちらは姉妹だったが、こちらは兄と弟)。 兄は鳥の言葉を理解することができる。というか鳥の言…

川上未映子『きみは赤ちゃん』

『きみは赤ちゃん』 川上未映子/文藝春秋 川上さんの妊娠から出産、子どもが一歳になるまでを書いたエッセイ。 これまでのエッセイを読む限り、川上さんは妊娠に対して積極的なわけではないという姿勢、態度だったと思う。「女性であるからには一度は産んで…

古書と古民家とつきさむの午後

4月23日は「本の日」だよ、本を贈り合う風習があるのだよと教えてもらい(そして本をもらい)、へえ、そんなのあるんだ!と知ったその翌日、静岡市内で開かれた本のイベントへ。「春の探書会」。 静岡市街から車で北に30分、文化財でもある山あいの古民家「…

思いと行動の不一致。「もう二度と食べたくないあまいもの」

最近、井上荒野さんの小説にハマってる。 お気に入りのカフェでケーキを食べつつ読書にふける幸福感。 『もう二度と食べたくないあまいもの』 (わたくし、甘いものは飛び抜けて大好きです)

恋愛は長編劇画か4コマ漫画か。『異性』穂村弘、角田光代

『異性』穂村弘、角田光代/河出文庫 恋愛や男女のあれこれを穂村さんと角田さんが語る往復書簡のようなエッセイ。「別れた相手に不幸になってほしいか」「好きだから許せる&好きだけど許せない」「私の真価に早く誰か気づいて」などテーマの切り取り方が絶…

姉妹の美しくも異常な日常、『ずっとお城で暮らしてる』

小説『ずっとお城で暮らしてる』を読んだ。シャーリー・ジャクスン著、市田泉訳、東京創元社。 これまでに読んだことのないような、というか自分が手に取ったことのない種類の小説だった。ジャンルで言うと、サイコホラー? とある町はずれの広大なお屋敷に…

優しい恋人か才能のある恋人か。『たましいのふたりごと』

『たましいのふたりごと』 穂村弘、川上未映子/筑摩書房 穂村さんと川上さんという大好きな著者二人の対談集、表紙には心そそられるキーワードが散りばめられており、これが面白くないはずがない!と勢い込んで読み始めたのだが、なんとも残念なことに、全…

梨木香歩 『雪と珊瑚と』感想

『雪と珊瑚と』 梨木香歩、角川文庫 あらすじも何も知らず、書店て背表紙だけを見て買った。梨木さんの小説は『f植物園の巣穴』も『村田エフェンディ滞土録』も『家守綺譚』も非常によくて、日常と地続きに現れる非日常の気配がたまらなく好きなのだが、『雪…

ポール・オースター 『ムーン・パレス』

『ムーン・パレス』ポール・オースター、柴田元幸訳、新潮文庫 昨年読んだ同じ作者の作品がとてもよかったので(ポール・オースター「幻影の書」の感想)、次は評判の高い長編を読んでみた。ジャンルは「青春小説」だろうか。これがもう、すさまじく面白かっ…

私たちはどこに向かって吠えればいいの。酒井順子『負け犬の遠吠え』

2003年の出版当時、問題作・衝撃作として話題になった、酒井順子『負け犬の遠吠え』。それから13年後の今、初めて読んだ。 この本の定義する負け犬とは、30歳以上、未婚、子どもなしの女性のこと。著者がこれを書いたのと今の私がだいたい同じ年齢で、同い年…

新年最初の買い物は文庫本。太宰治の『女生徒』

正月一日二日は外出もせず家にこもり、家族でボードゲームに熱中するうちに時間が過ぎた。年に一度、お正月にモノポリーで遊ぶのが我が家のならわしである。平和。 三日になってやっと外出。初詣にも初売りにも行かない私が、年明け初めて入ったお店は本屋さ…

つきさむのケーキと、雪山遭難の短編集

今年のつきさむ納め。ホットケーキは売り切れだったけれど、シナモンガトーショコラ(ホイップクリームといちご添え)が美味しかった。 おやつを食べながら熟読していたのは新田次郎の短編集『アイガー北壁・気象遭難』。主に雪山で、人が滑落したり遭難した…

ポール・オースター『幻影の書』感想

「幻影の書」ポール・オースター著、柴田元幸訳、新潮文庫 時間も気分もどっぷり読書に浸かりたいと思っているときに書評で見つけた小説。事故によって不意に絶望に突き落とされた主人公のもとに、ある日、何十年も前に失踪したまま行方知れずになっている映…

みちくさをしたくなる。街歩きのお手本『みちくさ』菊池亜希子

『みちくさ3』菊池亜希子 (小学館) 本屋さんに平積みされているのを立ち読みして、これはイイ!と迷わず買った本。超詳細なイラスト地図で街歩きの楽しさがぎゅーっと紹介されている。どのページ、どの街を見ても、いいなぁ、行ってみたいな、履きなれた靴…